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2025年

塩尻の県畜産試験場 7年ぶりに一般公開復活へ

2025/09/25
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 塩尻市片丘の県畜産試験場の一般公開が10月4日午前10時から、7年ぶりに場内で行われる。豚熱(豚コレラ)の発生に伴う防疫の厳格化などを受け、市内のほかの催しに出展する苦肉の形を取ってきた。豚熱対策の体制整備が進み、鳥インフルエンザの流行期を避けるなどの配慮をして現状でできる開催方法を探り、場内開催の復活に踏み切る。
 場内開催ならではの企画として、子牛や信州黄金シャモのひよことの触れ合いコーナーを設ける。場内を巡るスタンプラリーは防疫徹底のため会議棟周辺で行い、動物やトラクターを配して施設内容が分かるよう工夫する。一方、以前は回った畜舎は対象外とする。
 粉末状の柿の皮を与えて牛のげっぷに含まれるメタンガスの発生を抑える取り組み、希少品種の豚・マンガリッツァの利活用、AI(人工知能)を使うスマート畜産などの研究成果をパネルで紹介し、研究員が説明する。豚肉と信州黄金シャモの肉を販売する一方、研究テーマの変遷に伴い、牛肉販売は行わない。畜産クイズも用意する。
 令和元年の豚熱発生で全飼育豚の殺処分を余儀なくされたが、厳重な防疫体制を整えた新豚舎が造られ、3年に飼育を再開した。鳥インフルは流行しても10月中旬以降と見込まれることから、10月下旬~11月に行っていた過去の一般公開に比べ、開催を前倒しする。
 場内開催は、子供が動物と接する機会を作れるなどメリットが多い。7月下旬には場内で子供向けの特別公開を行ったが、予約制とし、参加を20組に絞ることで消毒などを徹底した。
 積極的な施設公開の背景には、一般にはなじみが薄い試験場を広く知ってもらいたいという考えがある。新型コロナウイルス禍を受けた開催見送りも経て、令和3年以降は市内の催しに出展する形で続けてきた。松崎良一場長は「試験場の研究の一端に触れ、農業を身近に感じていただきたい」と話している。

触れ合いコーナーに登場する信州黄金シャモのひよこ