上條恒彦さんしのび献花 故郷の朝日村でお別れ会
朝日村出身で、歌手や俳優、声優として幅広く活躍した上條恒彦さん(7月22日逝去、享年85)のお別れの会(実行委員会主催)が21日、村中央公民館で開かれた。村民や同級生、かつての仕事仲間など約200人が訪れて最後のお別れをした。

開場の1時間前から人が集まり始め、開始時刻には用意した約200席がいっぱいになった。訪れた人たちは、花に囲まれてほほ笑む上條さんの遺影を前に、入り口で受け取った白いカーネーションをささげて手を合わせ、実行委が編集した在りし日の映像に見入った。
遠方から駆けつけた人もいた。上條さんが制作に携わった平成5(1993)年の信州博覧会で披露された村民ミュージカル「朝日村ファンタジー」に出演した朝日小、中学校の同級生・斉藤安忠さん(86)=朝日村小野沢=は「当日は出演者、観客合わせて1000人もの村民が参加した。楽しかった」と振り返り、諏訪地域や木曽地域から訪れた同級生たちと感謝の思いを語り合っていた。元日本高野連評議員で松本県ケ丘高校の同級生の奈良井宏美さん(85)=塩尻市宗賀=は「いつか大空のどこかで会おうと胸の中で語りかけた」と話した。
お別れの会の実行委は、村民有志でつくる上條さんの後援会、村、上條さんの母校の松本県ケ丘高校同窓会、同校演劇部OB会、上條さんの親族で構成。他では開催予定がなく、会場で配布したパンフレットには、俳優の倍賞千恵子さんや松本白鸚さん、大地真央さんらがメッセージを寄せた。
上條さんの兄・弥太郎さん(96)=同村古見=は「歌好き一家で育った6人きょうだいの末っ子。村の仲間たちに支えられた」と感謝した。上條さんと小中学校の同級生で、実行委員長を務めた中村武雄前村長(85)は「昭和47(1972)年に村後援会を設立し村を挙げて応援してきたことが今につながっている。非常に優しく人間味のある男だった。安らかに眠ってほしい」としのんだ。