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2025年

烏川の砂防堰堤1基更新 老朽化で県が新設へ 10年度に完成予定

2025/09/20
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 安曇野市堀金烏川の県烏川渓谷緑地の上流部で、県による砂防堰堤の更新工事が本格化している。烏川上流にある5基の大規模堰堤の中で最も古い昭和38(1963)年建設の「野山砂防堰堤」の老朽化を受け、下流側に代替の堰堤を新設し、土石流の危険から下流域の住民生活を守る。令和10年度末に完成予定だ。
 新設する堰堤は高さ18・5メートル、幅47メートルのコンクリート製。中央部に柵状の隙間を設け、平時は水が流れ、土石流の発生時には土砂や流木を止められるようにする。総事業費は約9億円を見込む。
 野山砂防堰堤は高さ27・5メートル、幅66・5メートルの石積みアーチ型。建設から約60年間にせき止めた土砂は川の勾配を緩め、土石流の速度を抑える効果を発揮している。ただ、老朽化で漏水や破損が一部で発生し、県が平成30(2018)年の西日本豪雨を受けて行った石積み式砂防施設の点検では、緊急対策を要する施設の一つと判断された。
 石積みアーチ型堰堤の機能性を最新基準まで高める補強技術がないため、県は約200メートル下流側に堰堤を新設する。万が一石積みが崩れるような土石流が起きても、食い止められる機能を持たせる。
 猛禽類の調査を行うなど環境に配慮し、のり面の補強をしながら工事を進めている。県安曇野建設事務所整備課は「地域の安全を守るために必要な施設。事故がないように作業を進めて完成させたい」としている。

堰堤が新設される県烏川渓谷緑地上流の工事現場