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2025年

米統治下の沖縄「知るべき」 映画「宝島」19日公開 松本市で妻夫木聡さん・大友監督語る

2025/09/13
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 戦後の米国統治下の沖縄を舞台にした映画「宝島」が19日に公開される。宣伝キャラバンの一環で松本市を訪れた主演の妻夫木聡さんと大友啓史監督が、見どころや制作への思い、戦後80年の今年に公開される意義などを語った。
 映画は同名小説を原作とする史実に基づくフィクションで、3時間を超える大作。当時の沖縄を細部まで再現し、不条理や人権侵害などと闘いながら生き抜く若者たちの姿を壮大なスケールで描く。
 大友監督は、当時の沖縄は一種の無法状態で「とんでもないことがたくさん起きた」といい、その中で自由や個人の尊厳、平等のため闘ってきた歴史を知る必要性を説く。「僕らが最初から与えられているものを、自分の力で得るような生き方を当時の人、映画の登場人物はしている。作品を通して『宝島』の宝とは何なのか、気づいてほしい」と願う。
 妻夫木さんは沖縄の歴史を知るために訪ねた美術館で、丸木位里・俊夫妻の「沖縄戦の図」を前に動けなくなったという。「分かった気になっていないか、と問われたようだった」と振り返り、「沖縄の痛み、悲しみ、苦しみを受け止めて芝居で代弁しなければならない、と覚悟をもらえた」と語る。
 松本は平成15(2003)年公開の松本深志高校を舞台にした映画「さよなら、クロ」の撮影でなじみがある。沖縄から遠く離れた松本の人たちへのメッセージとして「沖縄の激動の時代を描いた作品だけれど、日本の、僕たちの話で一緒に考えなければいけないこと」と強調。「手と手を取り合い、どういう未来を思い描いていくのか。それが戦後80年にやる意味なのでは」と問い掛けた。


映画をPRする妻夫木さん(右)と大友監督