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2025年

OMFを笑顔で支えるボランティア

2025/09/06
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 松本市で9日まで開催されている国際音楽祭セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)では、市民によるボランティア組織・OMFコンチェルトのメンバー180人が活躍している。公演会場での案内やチケットのもぎり、楽屋の軽食提供などを担い、音楽祭を支えるボランティアに思いを聞いた。

ホールのドアの前に立ち、来場者を迎える小林さん

 大学の寮で調理や料理の提供の仕事をしている小林弘美さん(55)=松本市里山辺=は、子育てが一段落し、仕事の休みも取れるようになったことから活動を始めて4年目になる。「こんなに素晴らしい音楽祭が地元であるのだから、ちょっとでもお手伝いしたかった」と話す。
 今夏はオーケストラコンサートやオペラ、街中での吹奏楽パレードなどで活動。「お客さまとのささいな会話も楽しくて。パレードは子供たちが暑い中、頑張って演奏している姿を見て感激した」と語る。活動した日は夫はもちろん、学生や社会人となり離れて暮らすようになった息子2人にも家族ラインで「こんなことがあったよ」と伝えている。「一方通行で返信はないけれど、楽しくやっているんだなと思ってくれていると思う」と生き生きとした表情で語る。

パンフレットを販売する片山さん

 団体職員の片山慈子さん(42)=同市梓川倭=は県内の大学生だった時に始めた。「お手伝い程度だと思ったら違った。皆さんの取り組みが真剣で、音楽祭を支えている意気込みがすごかった」。同じ年代の仲間ができ、先輩もかわいがってくれて、20年以上続けてこられた。
 永世総監督の故・小澤征爾さんとの思い出が始めるきっかけにもなった。開智小学校金管バンドに所属していた11歳の時、小澤さんが指揮する合同演奏会に参加した。「小澤さんは演奏を止めて『そこの楽器が違う』と指導された。子供相手にも真剣で、音楽が本当に好きなんだと思った」。ボランティアを始めてからはその小澤さんが「皆さんのおかげで音楽祭ができている」と言葉を掛けてくれ、やりがいにもつながった。小澤さん亡き後も「続けて支えていきたい」と語る。