柔らかさ抜群!伝統の「両島なす」 秘密は豊富な地下水
2025/09/03
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松本市の両島では地質を生かした伝統のナスが生産されている。「千両二号」などの代表的なナスの品種の苗を用いているが、豊富な地下水で一段とみずみずしく、皮も実も柔らかな「両島なす」ができる。生産する農家は元々少なかったが、宅地改良や農家の高齢化によりさらに減った。青果卸のR&Cながの青果によると、出荷する農家は今では2軒ほどとなっている。

農家の鎌倉八郎さん(73)は、親から引き継いで両島なすを約15年生産している。5月末ごろに苗を植え、収穫最盛期の8月から11月の霜が降るまでの約4カ月で、1株80~100本ほど収穫する。松本市公設地方卸売市場に出荷している。
育て方は特徴的で、畑は地下水で土が常に湿った状態なため、基本水やりはしない。高さ2メートルほどまで大きくなる。早朝に3時間ほどかけて毎日収穫している。柔らかさを生かして、揚げナスやおひたしにするのがお薦めという。
8年ほど前には両島なすを生産する農家は4軒ほどあった。生産量が少ないことから、信州の伝統野菜には登録されていない。鎌倉さんは「食べた人に喜んでもらいたいと続けている。特に『柔らかくておいしい』の一言がもらえたときはうれしい」と話していた。