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2025年

戦意あおる国策紙芝居 思想統制に娯楽利用 旧山辺学校で複製紹介

2025/08/29
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 戦時中、国民の戦意高揚に利用された「国策紙芝居」が松本市里山辺の旧山辺学校校舎に展示されている。同館では毎年8月に、市民学芸員との連携事業で国策紙芝居の上演会を開いているが、今年は戦後80年の節目に合わせて初めて大々的に陳列。青少年を中心に人々を総力戦へと駆り立てた戦時下の大衆メディアを間近に見ることができる。
 展示したのは市内に残されていた国策紙芝居の精巧な複製9点。常設展示室「山辺に見る戦争の影」の展示ケース内のほか、9点の全内容を表裏印刷し、絵と筋書きが分かるようにしてとじたファイルも並べた。
 日本教育画劇株式会社や大日本画劇株式会社によって昭和16(1941)~19年に発行され、陸軍省報道部や軍人援護会などが推薦する。題目は「ソロモン海戦」「軍神の母」「空白の遺書」などさまざま。このうち北太平洋アリューシャン列島に位置するアッツ島の戦いを題材にした「玉砕軍神部隊」は、約2600人もの戦死者や自決者を出した激戦における日本軍の部隊長を「軍神」に祭り上げている。
 展示は8月上旬に始め、当面続ける予定という。大池德尚館長は「娯楽として浸透していた紙芝居を利用することで、未来を担う子供たちを戦争へと向かわせた。戦時下では思想すら統制される現実を知ってほしい」と話している。
 入館無料で火曜休館。

国策紙芝居を並べた展示室。実際を手にとって見ることができる展示もある