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2025年

戦争遺跡の保存・活用探る 松本で全国シンポ開幕

2025/08/24
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 戦争遺跡保存全国シンポジウム信州まつもと大会(戦争遺跡保存全国ネットワーク、実行委員会主催)が23日、松本市で3日間の日程で始まった。戦後80年が経過し、戦争の実体験を語り継ぐことが限界を迎え始める中、戦争遺跡の保存や活用を通じて戦争の実相を正しく認識・継承する目的で松本開催は16年ぶり。初日は松本第一高校で講演や現状報告があり、県内外から約150人が参加した。
 実行委員長を務める国立歴史民俗博物館の大串潤児教授が記念講演し、戦後80年の現代について「遺跡消滅の時代」であると同時に「戦争が見えない時代」「戦争遺跡を作り続けている時代」でもあると話した。戦争責任を考える上で他者理解や対話文化の深化が問われるとし「その重要な一角に戦争遺跡論がある」「戦争遺跡を通じて過去を語り継いできた人々の熱い思い、情念そのものも語り継いでほしい」と話した。
 主催団体が全国の戦争遺跡の保存状況を報告。文化財の指定・登録を受ける戦争遺跡は390件に上るが、全ての遺跡の1%に満たず保護策も不十分とし「戦争遺跡を土台に確かな歴史像を構築する必要性」を呼び掛けた。
 平川豊志・大会事務局長(松本強制労働調査団)は松本市内の戦争遺跡の変化を語り「物も記憶も薄れてきている」と指摘していた。
 開催は第28回を数えた。24日は午前9時~午後3時に松本第一高で分科会があり、参加費は1000円。25日は戦争遺跡を巡るフィールドワークに若干の空きがある。

記念講演を聴講する参加者たち
記念講演を聴講する参加者たち

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