全盲当事者招いて病院内巡る 相澤病院職員と課題洗い出し
2025/08/19
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松本市本庄2の相澤病院は18日、全盲の当事者と職員が一緒に院内を回り、現場で課題を体感しながら改善策を検討する「院内ラウンド」を行った。改正障害者差別解消法に基づいた職員のみでのラウンドは令和5年10月から毎月行っているが、より具体的な提言をもらおうと当事者を迎えて初めて実施。検査や買い物、書類のサインなどさまざまな課題を洗い出した。

同病院の依頼を受けて県視覚障害者福祉協会が派遣した、県松本盲学校教諭が協力した。尿管結石の検査で紹介状を持って来院したという設定で、検査センターや診察室、売店、入院検査説明室などを回った。ほぼ全盲という住吉さんは入院に必要な同意書をその場で書くことができず、妻も目が不自由で親類も近くにいないことから帰宅後も書けないという課題に直面。採尿する量の確認や提出場所も分かりにくいことが判明した。
ラウンド後のディスカッションで、住吉さんは「人が多くて一人では歩けないので案内が必要。使いやすい病院になるとありがたい」と感想を話した。
院内ラウンドは、同病院を運営する慈泉会で現場の環境改善などに取り組む品質戦略部を中心に、病院のリハビリ部門、総務課の計10人でつくるチームで実施している。全国でも珍しい取り組みといい、10月までに日本ALS協会県支部の協力でもう1回実施する予定だ。チームの鵜飼正二さん(44)と藤村七海さん(32)は「現場で対応できることは速やかに取り組むほか、そうでない課題についても運用面で対応できないかも含め検討したい」と話していた。