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2025年

へき地医療に貢献「髙久賞」 松本出身 産婦人科医・上條恭佑さん

2025/08/14
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「髙久賞」を受賞した上條さん(左から2人目)

 松本市出身で、県立信州医療センター(須坂市)産婦人科医長の上條恭佑さん(35)が、地域医療の貢献者に贈られる「髙久賞(最優秀へき地医療功労者賞)」を受賞した。木曽町の県立木曽病院などに勤務し、患者一人一人に寄り添った診察を続けながら、県内産婦人科医を結ぶ「オンライン勉強会」を立ち上げ、地域医療の向上に貢献したことなどが評価された。
 上條さんが5日、県庁を訪れて笹渕美香健康福祉部長に受賞を報告した。
 上條さんは松本深志高校(松本市)を卒業後、自治医科大学で学び、飯田市立病院や県立木曽病院など複数の病院に勤務した。産婦人科医として2年目の時に、目の前で産後の母親が死亡してしまう経験をした。幸せがあふれるはずの産科で絶望を経験し、都会なら助かったのか、医師を続けてもいいのか…と自問を繰り返したという。
 そんな時に新型コロナウイルス禍に見舞われ、学会や勉強会が中止になって大きな孤独を感じる中「教育の地域格差をなくしたい」とオンライン勉強会を立ち上げた。地域で孤立する医師がつながり、地域からでも世界に発信できることを示した。
 こうした経験を6月に開かれた「へき地・地域医療学会」で発表して、最優秀の「髙久賞」に選ばれた。
 上條さんは取材に「産科はすべての診療科の中で、唯一『おめでとう』と言える。つらいことよりうれしいことの方が多い。地域で頼りにされる医師になることはもちろん、世界へもアプローチできる医師になりたい」と目標を語った。

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