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2025年

疎開の実情、残された資料で浮き彫り 松本市文書館が戦後80年で企画展

2025/08/14
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 松本市文書館(鎌田2)で、戦後80年に合わせた企画展「松本への『疎開』」が開かれている。大都市から訪れた子供たちの手紙や写真、地元の受け入れ状況を伝える資料など普段は目にする機会が少ない収蔵品約30点を並べ、当時の人々の様子を伝えている。10月12日まで。

疎開に関するさまざまな資料が並ぶ企画展

 中山村(現松本市中山)役場文書「当直日誌」の昭和20(1945)年5月19日の記述は、学童疎開に関する内容だが、下の方に現在の安曇野市穂高有明で同日あった「有明空襲」のメモが残されており、地元が受けた衝撃が伝わってくる。疎開者を受け入れるために建物を増築した図面や、駅に荷物を取りに行った記録など実務的な資料が多く、教科書では知ることのできない実情を浮かび上がらせている。
 市内に疎開していた東京都世田谷区の「代沢国民学校」の子供たちが、進学に備えて帰京した後に寮母の女性に送ってきた手紙には、B29爆撃機や高射砲など空襲の生々しい様子が描かれた絵とともに、感謝を伝える温かい内容の手紙や書も多く、戦時下に生きた普通の人々の様子が目に浮かぶ。同館専門員の木曽寿紀さんは「戦争体験者が減っている中、今後はこれらの文書が、戦争の実情を伝える貴重な語り部になる」と話している。
 入場無料で午前9時~午後5時。月曜日と祝日は休館。問い合わせは市文書館(電話0263・28・5570)へ。

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