松商ナインの朝食作りに奮闘 学生寮の正村さん、球場でも“孫たち”応援
2025/08/13
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第107回全国高校野球選手権大会7日目の12日、松商学園は岡山学芸館(岡山)と対戦した。敗れはしたが、大勢の応援団が最後まで声援を送り続けた。その中で、憧れの舞台で戦う松商学園ナインに熱い視線を送り続けた正村明子さん(76)=松本市鎌田1。懸命に戦う“孫たち”の姿に、試合後は涙があふれた。

松商学園の学生寮で10年前から朝食を作っている。「ご飯」を通して選手たちと親交を温め、日曜日に公式戦があると手作りおにぎりを差し入れることも。明るくおしゃべり好きで、自身の孫と同世代の選手たちを温かく見守り続ける「おばあちゃん」のような存在だ。
元々野球好きだが、選手と関わる中で自然とグラウンドにも足が向いた。長野大会では「目指せ甲子園」の横断幕を自費で作って球場に掲げた。勝ち進むにつれ、選手たちの表情は自信を深めてりりしさが増したように感じたという。
午前5時前に寮に行き、同僚と2、3人で約100人分の朝食を作っている。毎日、早起きして朝練習に出かける選手たちの様子を間近で見続けてきた。「これ以上は頑張れない」と思わせるほどの努力の一端を垣間見る日々。いつしか「頑張れ」とは声に出して言わなくなった。
7月31日、寮から甲子園に向けて出発する選手たちに「甲子園の土は軟らかいか硬いか、しっかり踏みしめておいで」と送り出した。そして、久しぶりに目にした選手たちは、甲子園の舞台で輝いていた。「本当に立派だった」―。正村さんはそっと涙を拭った。
