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2025年

新たな県史編さんへ議論 松本で意見交換会

2025/08/10
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県史編さんに向け意見を出し合う出席者たち


 県が戦後現代史を対象に進める『長野県史』の編さんが来年度に始まるのを前に、松本市あがたの森文化会館で9日、県内の歴史研究団体や関係団体の意見交換会が開かれた。県史編さん事業の実現を県に働きかけてきた信濃史学会(松本市村井町南)が、より良い編さんに向けて意見や要望を出し合おうと主催。全県の13団体から30人余が出席し、討論した。
 冒頭、県の担当職員が編さんの指針となる大綱を説明。デジタル技術の活用にも努めながら、令和8~17年度をめどに編さんを進める見通しが示された。
 出席者からは、編さんに欠かせない史資料の収集や刊行後の資料保存について意見が集中した。資料の収集・保管状況における市町村の「行政格差」を指摘する声や、民間の古文書の散逸を危惧する声、『松本市史』の編さんを好事例に、事業の初期段階から資料の継承を念頭に置いた環境整備の検討を求める声などが上がった。
 現行の県史が編さんされた半世紀前と異なり、調査や執筆の担い手が不足している現状も共有。「歴史を明らかにする人材」の育成も熱心に議論された。
 新たな県史編さんを巡っては令和3年に、信濃史学会が諸団体の賛同を得て県議会に請願書を提出。実現に向けて動き出した経緯がある。同会の福島正樹会長は修史事業が世代を超えた責務を負う点に触れ「民間研究団体としても力を合わせて取り組みたい」と話していた。