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2025年

ラッパ 70年ぶり“里帰り” 松本の丸山さん 塩尻・堅石区に寄贈 戦中戦後 地元少年団で使用

2025/08/08
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70年以上ラッパを保管していた丸山さん(左)と、寄贈を受けた西條堅石区長

 松本市今井の農業・丸山哲司さん(87)が、戦後の少年時代に出身地の塩尻市広丘堅石で年長者から預かり、長年保管していたラッパを7日、堅石区に寄せた。70年以上の時を経て里帰りさせた形だ。同区は今後、堅石区民センターに飾り、住民が見られるようにする。
 真ちゅう製のラッパは長さ約30センチで2本ある。丸山さんの話だと、終戦から数年後、上級生3、4人が自宅を訪ねてきて「少年団」の団長に任命するとして、ラッパを置いていった。嫌だとも言えず引き受けたが、その後何の連絡もなかった。楽器の出所など詳細は不明だが、少なくとも昭和20年代のものだ。
 堅石の農家・保科家に4人きょうだいの3番目の次男として生まれた丸山さんは、19歳で今井の親戚と養子縁組し、ラッパは養子に入った丸山家で保管した。ほとんど触ることはなかったが、捨てることもできず、存在はずっと意識していた。最近見る夢の中に、軍歌「大日本青少年団歌」の歌詞がよく出てくるようになり、戦後80年の節目もあり、区にラッパを託すことにした。
 堅石区では、区誌編さん作業中で情報を多角的に収集している。西條富雄区長(77)は「よく取っておいてくださった。里帰りしたので大事にしたい」と話す。丸山さんは「取っておいたかいがあった。今世界では戦争が続くが、戦争に使う金を他に回せば、地球中が幸せになる」と平和への思いを語った。

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