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2025年

廃村集落の文化財守れ 奉仕団体・樹楽会 明科・山神社で枯れた松を伐採

2025/08/06
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 安曇野市で里山整備に取り組むボランティア団体・あづみの樹楽会が5日、明科東川手の廃村集落・天田の山神社で、立ち枯れているアカマツの大木3本を伐採した。強風や大雨でいつ倒れてもおかしくない状態だったため、地域の文化財である拝殿を倒木から守ろうとメンバー9人が集まり、炎天下での作業に力を合わせた。
 旧集落は天田山の中腹より上部に位置しており、30年ほど前から住む人はいない。精神的・文化的な中心地であった山神社は山頂付近に建っている。現在残る拝殿は大正時代の新築とされる。
 樹楽会は平成30(2018)年から天田で里山整備活動を行っている。四季を通じて北アルプスや里山の景色が楽しめる眺望に優れた場所で、「市民の憩いの場」にするのが目的。これまでに約50本の桜を山神社の周辺に植えた。シカの食害に遭いながらも、初期の桜が成長して花を咲かせる。毎年12月には神社を掃除してお神酒を供え、しめ縄を張って大切にしている。
 今回伐採したアカマツは胸高の幹回りが約2・3メートル、高さ10メートル以上で、根元が腐っている木もあった。放置して倒れれば確実に拝殿がつぶれる状態にあったという。作業に当たるメンバーたちは息を合わせ、ロープとワイヤで木を引っ張りながらチェーンソーで鮮やかに切り倒した。
 渡辺晃会長は「拝殿がつぶれてしまったら再建できない。地域の文化財を保護することができた。地域の歴史にも貢献できた」と笑顔で話していた。

山神社の拝殿。樹楽会が整備するまではやぶに覆われていた