寺でゴスペル 平和希求 松本・神宮寺
2025/08/04
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戦後80年の節目に合わせて松本市浅間温泉3の神宮寺は3日、アバロホールで「平和の祈りコンサート」を開いた。戦争の原因となってきた宗教や人種の垣根を超えようと、キリスト教の福音が元になるゴスペルを取り上げ、約100人が迫力のハーモニーを楽しみながら平和について思いを巡らせた。
シンガーの有坂美香さん(51)=神奈川県鎌倉市=とコーラスグループ「The Sunshowers(ザ・サンシャワーズ)」がオリジナルを含む14曲を披露。聴衆も手拍子や「コール&レスポンス」で参加して盛り上がった。谷川光昭住職(38)らが梵器を手に登壇し、読経と歌を合わせる一幕もあった。
コンサートに先駆けて法要を行い、戦没者の追悼や平和を築いてきた先人への感謝とともにこの先の平和を祈念した。本堂では寺が所有する原爆投下後の広島を描いた丸木位里・俊夫妻による「原爆の図」の複製が展示され、多くの人が足を止めていた。
近くの会社役員・馬目詩乃さん(56)は「セッションが素晴らしかった。戦没者や平和を維持してきた人たちについて改めて考える時間となった」と話していた。
神宮寺では、数年前まで「原爆忌」として原爆や戦争で亡くなった人たちの追悼と慰霊を行っていたが、途絶えていたため代わる催しとして企画された。谷川住職は「平和に生きていることへの感謝を一人一人持つことが次世代の平和につながる。そういう機会になれば」と願っていた。
