特攻隊員の逸話に非戦の思い新た 安曇野で知覧特攻平和会館(鹿児島)出張講話
2025/08/03
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安曇野市は2日、戦後80年と市制施行20周年の節目を捉えた平和事業として、豊科公民館で鹿児島県の知覧特攻平和会館による出張講話を行った。同会館の語り部・桑代照明さんと学芸員・八巻聡さんが命の尊厳を無視した特攻作戦や生前の隊員について解説し、約300人が戦争の愚かさや命の重みをあらためて感じ取った。

同会館は旧日本陸軍知覧飛行場の跡地に建っている。沖縄戦の特攻作戦で亡くなった1036人のうち知覧から出撃したのは439人で、旧陸軍最大の特攻基地だった。出撃しても墜落したり撃ち落とされたりして、特攻に成功したのは1割程度だったという。
桑代さんは写真や遺書などとともに隊員にまつわるエピソードを紹介。隊員の元を父親が訪ね、翌日に出撃する息子の顔を朝まで一睡もせずにのぞき込んでいたという話や、婚約者に宛てた手紙の中で「会いたい、話したい、無性に」と悔しさをにじませ、婚約者から贈られたマフラーを巻いて出撃し帰らぬ人となった隊員の話などを切々と語った。
桑代さんの語りを聞いた同市豊科高家の女性(81)は「(聞いている間)ずっと泣いていた。子供たちにも特攻のことを知ってもらいたい」と感想を話していた。同市豊科南穂高の男性(78)は「隊員たちの本音が聞けた気がする。戦争はいけない」と、非戦の思いを強くしていた。