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2025年

上條恒彦さん死去 朝日村出身 歌手・俳優で活躍

2025/08/02
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  歌手や俳優として活躍した朝日村出身の上條恒彦さんが7月22日、老衰で死去した。85歳だった。上條さんの訃報を受け、朝日村や親交のあった松本地域の人たちからは功績や人柄を惜しむ声が聞かれた。
 松本県ケ丘高校卒業後、俳優を志し上京した上條さんはふるさとへの愛着を持ち続けていた。40年近く暮らした諏訪郡富士見町から松本地域に度々足を運んでいた。
 前朝日村長で、上條さんと小中学校の同級生だった中村武雄さん(85)=朝日村西洗馬=は凱旋コンサートや音楽祭を上條さんの協力で企画。「“おらが村のスター”。上條が歌い村民と交流することで村が活気づいた。低音の効いたあの独特な声を出せるのは上條しかいない」としのんだ。
 上條さんが所属した県ケ丘高演劇部で1年後輩だった大輪貴念夫さん(84)=松本市本庄2=は「桁違いの演技力と歌声だった」と懐かしむ。印刷業を営んだ大輪さんに上條さんが年賀状の印刷を頼んでいたといい「年の瀬が近づくと富士見町で育てた野菜を持って来てくれた」と振り返った。高校の同学年の奈良井宏美さん(85)=塩尻市宗賀=は応援団長を務めていた上條さんの姿を思い浮かべ「でっかい体で声もすごかった。訃報を聞き切ない」と惜しんだ。
 上條さんが制作に携わった曲は今も歌い継がれる。平成5(1993)年の信州博覧会で披露された村民ミュージカルのテーマ曲で、上條さんが作詞した「山は大きく」は朝日小学校音楽会で毎年歌われている。旧明科町歌もその一つで、町職員だった小林章男さん(84)=安曇野市明科東川手=は「上條さんが紡いだ言葉を大切にしていきたい」と話している。

自身が作詞した「山は大きく」を朝日村民と歌う上條さん(中央、平成30年10月の開村130周年記念式典で)