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2025年

ドローン活用 物資輸送へ 実証実験 松本・美ケ原高原で NTT東日本長野支店

2025/07/30
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実験に用いられたDJI社製の物資輸送ドローン
実験の説明をするNTT東長野支店の小林さん。手前はドローンが輸送した災害支援物資

 NTT東日本長野支店(長野市)は29日、松本市郊外の美ケ原高原でドローンを活用した物資輸送の実証実験をした。災害発生時に孤立する可能性がある地域で、迅速かつ安全な物資輸送手段を確立することが目的。同社は実験を踏まえ、市内の他地域でも災害時の物資輸送ルートを確保したい考えだ。
 中国・DJI社製の物資輸送機(縦横約3メートル、高さ約1メートル、最大積載量30キロ)を使用した。同市の入山辺運動広場(標高710メートル)から美ケ原自然保護センター(同1900メートル)までの約8キロを飛行し、17食分の食料や14リットルの水を含む20キロの災害支援物資を約10分で運んだ。ルートの大半はドローンの自動航行機能で飛行し、離陸と着陸はオペレーター(操縦士)が「プロポ」と呼ばれるコントローラーと目視で監視した。発着地周辺には集落や牧場のほか、高圧電線や電波塔、道路などの施設がある。NTT東が前日までに関係各所の許可を得て、住宅や各施設に支障のない飛行ルートを設定した上で実験に臨んだ。
 同社によると、標高差1200メートルで物資を輸送する飛行実験は国内最大規模。松本市や民間企業12社が参画する「デジタルシティ松本推進機構」の本年度事業として、1プロジェクト当たり上限1000万円の予算を活用して実施した。市内では過去の災害時、上高地や白骨温泉などで孤立地区が発生したことがある。NTT東はこれら地域での実証実験にも意欲を示している。
 同社長野支店ビジネスイノベーション部の担当者・小林宙さん(52)は「飛行ルートを作ることができたのは大きな成果だ。他地域でも取り組みを進めたい」と話していた。