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2025年

松商学園栄冠 鉄壁の守備力、無失策を完遂 高校野球長野大会決勝

2025/07/27
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 「松商で始まり、松商で終わる長野大会にしよう」
 組み合わせが決まったその日から、松商学園ナインが掲げてきた目標だ。開幕戦を鮮やかに飾ると、1点差ゲームをしぶとく勝ち上がりながら迎えた決勝。投手が踏ん張り、バックがもり立てる―。これまで通りの野球を貫いた。そして、勝敗を分けたのは守備力。開幕戦から決勝までの7試合を無失策で戦い抜き、悲願の甲子園切符をつかんだ。
 毎試合2桁安打の佐久長聖打線への対策は「長打を許さない」(松商学園外野陣)こと。打者のスイングやファウルボールの方向をつぶさに観察し、思い切った位置取りをするなど細かく守備位置を調整した。中堅手の小林智(3年)は「ボールが自分の方に来る感じ。気持ちが良かった」と話す。小気味よく投げ込む主戦の加藤高慎(同)、軽快にゴロをさばく内野陣―。テンポ良くアウトを重ねた。
 昨秋、今春とも思い描いていた結果を残せなかったことが転機となった。練習試合でも背番号を発表して公式戦と同じ緊張感を再現。一つの失策が勝敗を左右することや、負ければ終わりという重圧を感じ、学んだ。小林伸伍主将(3年)は「チームのために一球一球を大事にできる選手がレギュラーになれるんだと気付かされた」。守備への意識も確実に変わった。
 6回、松商学園の得点は相手の立て続いた失策から。複数の失策が失点につながるという野球の定石が明暗を分け、松商学園の守備力の高さが際立った。
 今年のチームに派手さはない。長打力のあるスラッガーや剛速球投手はいない。しかし、どこにも負けない守備力がある。次の舞台は甲子園。鉄壁の守りを発揮できるか。小林伸主将は「最高の準備をする」と力を込めた。

勝利の校歌を歌い上げ、ベンチとスタンドに向かって喜びを爆発させる松商学園の選手たち