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2025年

松本市立病院が分娩で事故 新生児に後遺症の恐れ

2025/07/23
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 松本市立病院(松本市波田)は22日、県内の20代女性が病院で出産した時に、助産師が分娩監視業務を怠ったことが原因の医療事故が発生したと発表した。この事故で新生児が仮死状態で生まれ、低酸素性虚血性脳症と診断された。市立病院は7月までに女性や家族に謝罪するとともに、今月23日から分娩を休止し、産科の体制見直しを図る。現在、予定されている妊婦十数人の分娩は、近隣の他の病院を紹介して対応するという。

記者会見で謝罪する臥雲市長、北野病院事業管理者、佐藤院長(右から)

 市立病院で開いた記者会見で経緯を説明した。女性は4月、陣痛が起こったため同病院に入院、重症妊娠高血圧症候群と診断されたため降圧剤治療が開始された。その後、胎児心拍モニターに異常波形が現れたが、助産師は医師に報告しなかった。翌日、胎児心拍数が低下したため緊急で分娩したが、仮死状態で生まれた。新生児は高度医療機関へ救急搬送されたが、後遺症が出る可能性があるという。佐藤吉彦院長は「異常波形が出た段階で産科医師に連絡していればこのような事態にならなかった」と述べた。
 第三者を含めた事故調査委員会は「助産師のモニター分析がされておらず、発見が遅れたことによる分娩時の重症仮死事例で、過失であり医療過誤である」と結論づけた。北野喜良病院事業管理者は「お子さまやお母さま、ご家族に心より謝罪する。市民にも大きな不安と心配を与え、誠に申し訳ない」と陳謝した。同席した臥雲義尚市長は「病院開設者として心からおわびする。誠意を持って対応し、産科体制の見直しを図っていく」と述べた。