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2025年

野球部3年生37人の父親役 松本国際高3年E組・宮﨑教諭

2025/07/20
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 松本国際の3塁側スタンドから選手たちにひときわ大きな声をかけ続ける宮﨑裕司教諭(40)。3年生の野球部員全37人が所属する3年E組の担任で、選手たちにとって心の支えとなっている。厳しくもあるが、常に近くで前向きな声を掛け続けてくれる―。親元を離れて野球に打ち込む3年生にとっては「父親」のような存在だ。

3塁側スタンドで声をからす宮﨑教諭
3塁側スタンドで声をからす宮﨑教諭

 担任となった昨春、ホームルームで真っ先に選手たちに掛けた言葉は「何をしにこの学校に来たんだ」だった。野球は素人だが、生徒たちが目指す甲子園の壁の高さは理解しているつもり。日々の生活から律することができなければ、到底目標には届かない。「最後は笑って終わってほしい」。選手間ですれ違いが見られたとき、授業態度に緩みが出たときなど、常に親身に寄り添って支え続けてきた。
 4回戦後、宮﨑教諭はベンチとスタンドの選手間で気持ちの温度差を感じ、クラス全員に声掛けしたという。その言葉に、出口宗助主将(3年)は「このままでは駄目だと気付かせてくれた。バラバラになっていた自分たちをまとめてくれた」と語る。保護者会の出口護会長(53)も「宮﨑先生なくして今の3年生はなかった」と感謝の言葉を口にする。
 勝てば7年ぶりの4強入りが決まる19日の準々決勝。出口主将が8回に適時2塁打を放つと、宮﨑教諭は両手を大きく広げて空を見上げた。声はもうかすれていた。「最後まで一丸となって駆け抜ける姿を見せてほしい」。スタンドから温かいまなざしを送る。