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2025年

【参院選 足元の課題】若者と地方どう結ぶか 情報の届け方が鍵に

2025/07/17
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 内閣官房が4月に発表した「地方から都市部への若年層の人口流出に関するデータ等」(令和5年)によると、東京圏、愛知県、大阪府、福岡県を除いた40の道府県で、15~39歳の若年層が「転出超過」だった。長野県の転出超過は15番目に多い4311人だった。人口減少が進む中、若者の地方離れが止まらない。
 地方の魅力を探し出す活動をしている学生は、現在の地方はどう映るのか。
 松本大学(松本市新村)総合経営学科の岡﨑滋樹准教授(38)のゼミなどは令和5年度から、松本広域連合と協働して、管内8市村を周遊する観光ガイドプランやPRチラシの製作などに携わっている。これまでに観光ガイドマップ「#まつもとトコトコ」に周遊モデルコースを載せ、8市村の特徴を満載したイラストの「間違い探し」のチラシを作成、学生が見た松本地域の魅力を発信してきた。
 本年度はPR動画の企画に取り組んでいる。山形村中大池の3年生・梶諒太さん(20)は「ずっと村に住んでいるけれど、(村内の)清水寺はあることを知っていたくらい。調べたことで松本地域にどんどん興味が湧いてきた」と話す。
 一方で、周遊モデルコース作りで「苦戦」を強いられたのは、公共交通機関のネットワーク、運行本数の少なさだ。上田市出身の同・小林優人さん(21)は「多くを回れるようにしたくても、タウンスニーカーがある松本市街地しか思うようにできなかった」と振り返り、都会に比べて貧弱な公共交通機関の充実を地域の課題に挙げた。
 普段の生活に目を移すと、通学に使う車のガソリン価格の高騰に頭を悩ませる。就職活動を前に気になるのは、賃金に対する社会保険料の割合の大きさだ。塩尻市の村上皓紀さん(20)は「将来の社会を支える自分たちや子供たちの数が減っているので、少子化対策が気になる」と話す。
 岡﨑准教授は「地域にはいい仕事や魅力がはあるが、学生はネットで情報を得ており、地域の生の情報を知らない」とみる。20日投開票の参院選でも、各政党や政治団体の政策が若者に届いていないと考える。「政治家は直接若者に自分の思いを届け、意識的に地域に目を向けてもらうことが大切ではないか」と指摘する。