塩尻・新博物館 候補地測量へ 平出遺跡公園北 建設時期は未定

老朽化に伴い移転改築が計画されている塩尻市立平出博物館は本年度、移転候補地の地形測量を行う方針だ。移転改築のため令和5年度に新博物館の基本計画が策定されたが、市の財政事情により建設時期は「未定」のままだ。先が見通せない中、現時点でできることを粛々と進めていくという。
本年度当初予算には、新平出博物館整備事業費として地形測量委託料454万円が盛られている。平出遺跡公園北側のガイダンス棟の隣接区域で、候補用地の現況を調査し設計の基礎になる資料を作成する。「手戻りがない範囲」(博物館)での作業だ。
基本計画策定時に開館は10年度を予定していた。ただ博物館の施設整備に適当な国の補助金が見込めないことなどから当初行程は困難になった。6年度は平出遺跡の整備を盛り込む「歴史的風致維持向上計画」の策定と候補地の埋蔵文化財発掘調査を284万円で行った。
市の財政をみると、6年度に市民交流センターの大規模改修工事に14億円かけた。本年度以降は市レザンホールのつり天井と施設全体の改修に38億円余―と公共施設の維持管理に費用がかさむ。
市は本年度から2年かけて30年間の「公共施設整備計画」を策定するが、博物館建設をいつ位置付けるかは不透明だ。現博物館建物のうち平出遺跡考古博物館が昭和29(1954)年の建設で、30年後は築100年となる。立地が土砂災害特別警戒区域に当たり現建物の大規模改修は「現実的ではない」(博物館)。
昨年12月と今年2月に延べ16人の市民が参加する新博物館に関する意見聴取のワークショップを開いた。ここで出た意見を基に、駅からの交通や活用方法などテーマを絞り、市民が話し合う機会を設ける。
小松学館長は「時間が取れた、と前向きにとらえたい。ただ移転するのではなく全体的に魅力ある場所にしたい。円滑に事業が進むよう下準備をする」と話す。