視覚障害者の俳句クラブ・雪形会 50年の歴史に幕
2025/07/16
後で読む

県視覚障害者福祉協会の俳句クラブ・雪形会が設立50周年を迎え、会誌『ゆきがた』5・6月の275号を最終号として発行し、活動を終えた。県内の視覚障害者約20人が会員として俳句を楽しんでいたが、会員やボランティアの高齢化を受け、節目を機に最終号とすることを決断。13日にボランティアへの感謝の気持ちを込めた慰労会を松本市中央1のレストランどんぐりで開き、会員ら16人が参加して、半世紀にわたる活動を振り返りながら、発行終了を惜しんだ。

昭和50(1975)年に会が発足して以来、ボランティアに支えてもらいながら、会誌を隔月で発行してきた。点字の印刷が施された「点字版」と、字を大きめに印刷した「墨字版」2種類を1セットとして作ってきた。
同会は通信句会で、会員が詠んだ句を電話やファクスなどで受け取り、俳人の降旗牛朗さん(66)=松本市大手4=が添削し、元県松本盲学校教諭や、元松本市点訳赤十字奉仕団のスタッフなど5人ほどが編集や点訳、製本をしていた。
慰労会では、会員が直接ボランティアたちにお礼を伝えた。これまで直に会って話ができなかっただけに、笑顔を見せて俳句の話で盛り上がっていた。22年添削を担当した降旗さんは「始めは視覚障害者の句が想像できなかったけれど、何げなく見過ごしていることを句にしていて勉強になった。楽しい思いをさせてもらった」と話していた。
30年以上俳句を詠んでいる会員の丸山訓代さん(81)=同市浅間温泉1=は「日々の記録として句を作らせてもらい、自分の歩みができて良かった。会が終わるのは残念だけれど、俳句を作る“くせ”をつけてもらったので詠み続けたい」と感謝していた。