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2025年

【参院選2025足元の課題】子育て環境の整備急務 働き方改革も重要に

2025/07/15
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 「高校授業料の実質無償化」「子育てや教育の予算倍増」―。
 20日投開票の参議院議員選挙で各政党・団体が掲げる少子化対策・子育て政策は、経済面の支援メニューがずらりと並ぶ。国はこれまでもさまざまな子育て支援策を打ち出してきたが、予想を上回るペースで出生数は減り続けている。昨年は68万6061人となり、明治32(1899)年に統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回った。国立社会保障・人口問題研究所の将来予測より14年も早い。実効性のある政策とは何なのか―。
 松本市の会社員女性(39)は、小学校3年生の男の子(8)を育てている。31歳で出産して以降、「2人目は」とよく聞かれるが「1人で十分」との考えは変わらない。
 同じ会社に勤める夫は育児に理解はあるが多忙。実家は近いものの実母は働いており、手伝ってもらうにも限界がある。突然の発熱で保育園から連絡が来た時も、インフルエンザなどで学校を休まないといけなくなった時も、常に1人で対応してきた。
 出産後はパートとして復帰したが、将来の教育資金を見据えて、小学校入学を機に正社員に切り替えた。本来は週末勤務があるが、会社と交渉して日曜日は固定休みにしている。「これ以上わがままは言えない」と話す女性は「経済的な支援は助かるが2人目がほしいと思う理由にはならない。子供がいても働きやすい環境を整えてほしい」と語る。
 企業向けのハラスメント防止対応やメンタルヘルス研修を手掛けるコミュニケーションズ・アイ(松本市筑摩1)では「勤務条件を理由に出産・子育てで退職する社員を0にする」を掲げ、柔軟な働き方を認めている。20~40代の女性社員に目を向けてほしい子育て支援策を聞いたところ「放課後児童クラブの拡充や無償化」「長期休暇中の児童センターなどでの給食提供」とともに「(社会で働く)活躍する女性を当たり前の存在に」「社会の意識改革のための啓発」との声があった。
 ただ「子育てしやすい労働環境の整備」を含む「ジェンダー・多様性」に関する政策は、米トランプ政権の発足などで注目度が下がっている。同社の伊藤かおる社長は「(年収の壁問題解消などの)インフラ整備と同時に、職場の理解の推進に取り組み続けなければ子供は増えない」と力を込める。