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2025年

参院選足元の課題 物価高やりくり懸命 こども食堂運営苦境

2025/07/10
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 「スーパーの野菜が高くて買えない」「食品添加物を気にしていたけれど、こだわっている場合じゃない」。安曇野市で開かれたこども食堂で、子育て中の母親たちが日々の買い物についてため息交じりにこぼした。
 食品の値上げが止まらない。民間調査会社の帝国データバンクが主要食品メーカー195社を対象にした調査によると、7月に値上がりした食品は2105品目に上る。日用品や光熱費も含む物価高騰で、家計は圧迫されている。
 子育て家庭を応援する「こども食堂」も、厳しいやりくりを強いられている。NPO法人ホットライン信州は各地でこども食堂を運営・支援し、食事提供にとどまらず幅広く支援物資を配布する。
 米は欠かさず用意するが供給不足で大口の寄付がなくなり、こども食堂を頼る人が増えたことで確保に苦心。「ありとあらゆる」手段で調達し、他の物資も複数会場で日程を合わせて分けるなど知恵を絞る。大人数に対応できるよう食事は弁当にして、麺類を中心に献立を工夫する。
 同法人専務理事の青木正照さんは「コロナさえ終わればよくなると思っていたのに、さらに厳しい。支援すればするほど(対象者が)増える」といい、家庭の食事需要が増す夏休みに向けて、配布する米の増量も検討する。
 6日に安曇野市堀金烏川の宿泊施設・ほりでーゆ~四季の郷で開いたこども食堂では「肉みそうどん」やピザ、米、菓子、インスタント食品、日用品などがそろった。家族連れを中心に約200人が訪れ、大きな袋いっぱいに受け取って交流も楽しんだ。
 参加した山形村の女性は、医療的ケアが必要な長男(6)と、次男(4)を夫と育てる。物価高騰の影響で一時経済的に逼迫したが、公的機関に相談して立て直し、こども食堂も積極的に利用するようになった。抱えるほどの物資に「数日でもお金を使うプレッシャーから解放される」と安堵していた。
 小学生の息子と訪れた同市三郷明盛の主婦(31)は、最近の物価高に「外出時の飲み物も自分は持参して買うのは子供だけ。なるべく我慢させずに節約している」と話す。参議院議員選挙で掲げられる給付金や消費税減税の政策に「目先のことだけでなく、子供たちの将来がよくなるように考えてほしい」と願った。