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2025年

子実トウモロコシを麻績村農業委が試験栽培 トルティーヤの原料に

2025/07/09
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 麻績村農業委員会(塚原茂樹会長)が今夏、メキシコ料理・タコスで具材を包むための薄焼きパン「トルティーヤ」の原料となる子実トウモロコシを試験栽培している。全国的な需要が見込めるとする上伊那郡箕輪町のメキシコ料理店「ブリトー&タコス5884」からの提案に応じた。結果を見極めながら栽培を村内に広めていく考えだ。「遊休農地解消につながれば」と特産化に期待しつつ収穫を待ち望んでいる。

 塚原会長ら農家の有志数人が、村内のさまざまな条件の田畑で生育具合を確かめている。5月下旬に種をまき、現在は高さ1~1・5メートル程度と生育にばらつきがあるが順調だ。
 一般的な食用トウモロコシが甘みの強い未成熟果を夏場に房ごと収穫・利用するのに対し、子実トウモロコシは秋に完熟果の粒を収穫する。鳥獣の食害に伴う損失も少なく、栽培も比較的容易という。一方で既存の食用種と交雑して食味を落とす恐れがあるため、食用種の栽培が盛んではない麻績村へ県松本農業農村支援センターを通じて提案があった。
 同メキシコ料理店を経営する小林圭太郎さん(44)によると、子実トウモロコシは高い需要が見込めるが、既に飼料用の供給システムが確立しており、トルティーヤ用としての国内生産はごくわずかだという。小林さんは同町内での栽培を試みたが協力を得られず、県内の他自治体に協力を求めた結果、麻績村農業委が手を上げた形だ。日本タコス協会の理事でもある小林さんは、トルティーヤへの自家加工により全国各地の専門店への需要開拓が見込めると考え「今なら『信州産』ブランド価値が付加できる。麻績村で実現できれば」と意気込む。

 塚原会長は「今回の試験で土質や肥料などの栽培条件が見えると思う。若い人が就農する際の収入の柱の一つとなれば」と願う。

麻績村内で子実トウモロコシを試験栽培する村農業委員会(6月30日、中芝)