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2025年

松本サリン31年 地元2町会が今年も献花台

2025/06/28
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 松本市の住宅街に猛毒の神経ガス・サリンがまかれ、死者8人と重軽傷者約600人を出した平成6(1994)年の松本サリン事件から27日で31年を迎えた。オウム真理教がサリンをまいたとされる同市北深志1の駐車場に隣接し、住人1人が犠牲となった明治生命寮跡地の田町児童遊園では、田町町会と新田町町会が今年も献花台を設置した。近隣住民などが訪れて花を手向け、手を合わせて犠牲者を悼んだ。

近隣住民らが献花台を訪れ、犠牲者を悼んで献花した

 献花台は午前9時ころに設けられ、午前中は約10人が訪れた。事件で直属の上司を亡くした小林良通さん(55)=松本市北深志=は「(献花する時に心の内で話すことを)考えていたが、何も言えなかった。こういう事件は二度と起きてほしくない」と思いを述べた。被害者で第1通報者の河野義行さんと同じ年齢の縁で訪れた八幡雄二さん(74)=同市渚2=は「宗教は否定しないが、(事件を起こした)オウム真理教の教祖の教えが当時の若者には魅力的に見えた。風化させずに若い人にも考えてもらいたい」と語った。
 公園の砂場などに花を置く人の姿があったことから、昨年、初めて献花台を設けた。今年も町会の年間計画の立案時から献花台設置の声が上がったという。田町町会の吉見隆男町会長は「献花する人のため、1日だけだが献花台を設けた。来年の設置については今年の様子を見て検討したい」と話していた。