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2025年

タクシー呼んだら速やかに乗車を 人手不足、利用客のマナー向上も必要

2025/06/27
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 夜間のタクシー不足対策として、松本市内の業者らが利用者に対し、配車を依頼して車が到着したら速やかに乗車するよう協力を呼び掛けている。呼んだタクシーが飲食店に到着しているのに客がなかなか出て来ずに30分以上待たされるケースもあり、人手不足で台数が減っている中、利用者の意識改革が必要な時期を迎えている。

飲食店の外で客を待つタクシー。稼働台数が減っている中、利用する側のマナー向上が求められる

 市内のタクシー会社5社でつくる松本地区タクシー協議会(議長・三澤洋一アルピコタクシー社長)によると、新型コロナウイルス感染症禍前の令和元年度に410台あったタクシーは昨年度、約3割減の300台となった。飲食店などからの依頼が多い午後10時以降に限れば80台から40台に半減。人手不足を受けて各社は定年延長しており、アルピコタクシーは昨年度、73歳から77歳代になった。同社は「72歳から認知症検査を実施して安全には万全を期しているが、これ以上の延長は難しい」と話す。
 宴会の2次会、3次会が減っている中、最近の配車依頼が集中する時間帯は午後9時半~10時半ころ。ただでさえタクシーがつかまらない状況下で、待たされた客から強く責められたり、タクシーが待機していることを全く意に介さない人がいたりして、精神的なダメージを受けるドライバーもいるという。
 同様の悩みを抱える地域は多く、新潟県柏崎市では2月から、市地域公共交通活性化協議会と市ハイヤー協会が協力して「守ろう!5分以内乗車」と題したキャンペーンを始めた。市内の飲食店にポスターを配ったり商工会議所の会員向けにチラシを配布したりしており、利用者の意識の変化が見え始めているという。市企画政策課の須田惇也さん(37)は「さまざまな業界が協力することで効果が出る」と手応えを語る。
 三澤議長も、松本市役所で今月開催された「松本地域公共交通協議会・松本地域公共交通会議」で啓発の必要性を提案し、市も前向きな姿勢を示した。三澤議長は「少ない台数を効率的に運用し利用者の利便性向上につなげるため、理解を広げていきたい」と話している。