安曇野市会がハラスメント防止へ条例素案 議員間・議員から職員への嫌がらせ抑止へ厳しい是正措置 9月定例会で制定
2025/06/27
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安曇野市議会は、議員間または議員から職員へのハラスメントを防止する条例を9月定例会で制定、施行する方向で準備している。素案では、ハラスメントの事実が認められた場合には加害者に対する指導や注意に加え、事案の公表を行うとしている。政治生命をも左右しかねない厳しい是正措置を抑止力につなげる狙いだ。
素案では、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメント、妊娠・出産や性別を巡る嫌がらせなど、個人の人格や尊厳、職務環境を害する行為をハラスメントとしている。
苦情の申し出や相談を受けた議長は状況に応じ、相談員に指名した議員や副議長などで構成する「ハラスメント処理委員会」を設置。同委員会は当事者への聞き取りなどを行い、ハラスメントの事実が認められた時は、加害者に対し議長が助言や指導、注意、公表による是正措置を行う。事案の内容をどの程度まで公表するかは検討中だ。
市議会では令和3年3月、議会内でハラスメントはないとする男性議員と、セクハラまがいの発言をされたことがあるとする女性議員が広報特別委で言い合いになった。
4年11月には、議員のパワハラの有無などの検証を求める陳情が出され、採決では賛否が拮抗。委員会審査では採択すべきとしたが、本会議で不採択となった。
こうした経緯を背景にハラスメント対策の機運が高まり、ルール作りが始まった。条例か要綱か、どんな是正措置が妥当かなどを議会運営委員会で議論し、弁護士の助言を受けながら条文の作成を進めている。議運の中村今朝子委員長は「ハラスメントが政治生命に関わることを考えて言動がされるように、しっかりと抑止力を持った条例にしたい」と話している。
近隣自治体では、松本市議会が5年度、議会基本条例を改正しハラスメントに関する条文を加えている。
