信州の伝統野菜・羽淵キウリ後世に残そう 塩尻・贄川の住民団体 持続可能な農法実践

塩尻市贄川の住民らの団体が、希望者を募って進めている県認定「信州の伝統野菜」の羽淵キウリの栽培で25日、つるをはわせる支柱の設置作業があった。持続可能な農法を駆使する考えで、地元で切り出した竹を材料にした。住民らでつくる贄川駅前公園の会と楢川地域おこし農家組合の呼びかけに応じた10人ほどが汗を流した。
長さ3メートルほどの竹は、一連の作業を指導する農家組合の広田真一さん(75)の畑で調達した。自身が羽淵キウリを育てる畑は山際にあるため、竹の侵入に悩んでいるという。伐採後に畑で寝かせて葉を落とした竹を、長さ50センチほどに育ったキウリの周囲に何本も立てた。上部に別の竹を横向きに渡し、要所をひもで縛ってまとめた。
キウリの周囲には、雨が泥をはねるのを防ぐため、周囲のあぜで刈った草を敷いた。病気予防などの効果がある。竹も草もいずれは土にかえり、肥料にもなる。公園の会の盛田博子会長(71)は「部分的な自然農法。肩ひじを張ると続かないが、伝統野菜を守る取り組みを緩く長く、楽しく続けたい」と話す。
伝統野菜の栽培を軸に、地域に訪れる人を増やす考えがある。4月に募った参加者は8グループ・約80人になった。その都度、参加を呼びかけ、耕起や施肥、種まき、竹の刈り取りなどを行ってきた。
木祖村観光協会職員の竹入雄二さん(55)と塩尻市大門二番町の翻訳業・真塩洋明さん(53)は「伝統野菜に興味がある」と口をそろえる。市内に移住して1年ほどの真塩さんは「農作業を教えてもらいたい。部外者は入りづらいと感じていたが、皆さんとつながりたい」と望む。
収穫期の8月から9月の実施を見込み、羽淵キウリの料理講習会や収穫祭、特製の「羽淵御膳」の考案なども考えている。今後は茎を切って実を付けさせる枝を増やす作業などを予定しており、広田さんは「途切れることなく伝統野菜を育てていくため、新しい人たちに知識や技術を伝えていきたい」と話している。