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2025年

バルセロナに信州そば道場開設 山﨑さんの食文化交流が実を結ぶ

2025/06/25
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 スペイン・カタルーニャ州のバルセロナに、信州そばの普及を目指す「信州そば道場」が開設された。そば本来の風味や歯ごたえを楽しめる手打ちそばをスペインに広めようと、平成19(2007)年から同国での食文化交流に取り組む浅間温泉ホテル玉之湯の元社長・山﨑良弘さん(70)=松本市=の長年の活動が一つの実を結んだ。来日して山﨑さんからそば打ちを学んだスペインの“弟子”たちによって、手打ちそばの魅力を一層広めていく。

バルセロナに開設された信州そば道場。前列左から3人目が山﨑さん

 バルセロナに昨年できた日本・カタルーニャ体験型文化交流施設「MUSUBU(むすぶ)」内に、5月26日に開設された。提案者は施設の運営責任者で、同州の町イヴァルス・ドゥルジェイの「日本祭り」実行委員長も務めるジェニス・カステーリョさん。山﨑さんが手掛けた信州そば切り音頭やそば打ちの修業を通じて親交があるカステーリョさんから山﨑さんに、今年に入って道場開設の相談があり「願ってもないチャンス」と全面協力した。
 山﨑さんは5~6月にスペインに渡り、こね鉢、包丁、こま板、めん棒などそば打ち道具一式を寄贈した。「信州そば道場・バルセロナ」と命名して看板も製作。オープニングでオリジナルそば粉のそばを打って振る舞った。今後は山﨑さんの下で修業したイグナシ・カロンジャさんが、道場内で臨時のそば店やそば打ち講習会を開き、文化を広めていくという。
 山﨑さんがスペインでそばの普及活動を始めた18年前、現地の人々は手打ちのざるそばに手を伸ばさなかった。しかしこの間徐々に浸透し、年々人気が高まっているという。山﨑さんは良質なソバの栽培や製粉、品質管理を含んだ一連の過程がスペイン国内で賄える日を願い「道場の誕生により、そば打ちを志す人は格段に増えるはず。魅了された人たちがいつか本場の信州そばを求めて来日してくれればうれしい」と話している。