高齢者の移動支援構築へ 塩尻・洗馬で実証実験 住民が主体 自家用車を活用

塩尻市洗馬の上小曽部と下小曽部で、住民主体の高齢者の移動支援サービス構築に向けた実証実験が行われている。住民有志が自家用車で運転して目的地に連れて行くボランティアで、まずは買い物を目的とした運行を始め、交通の利便性が低い地域で体制構築の可能性を探っている。
24日は広丘野村の大型商業施設・ギャザまでの間で車2台を運行し、4人が利用した。約1年前に車の運転免許を返納したという91歳の女性は「ありがたい。みんなの顔を見て交流できるのも楽しみ」と話した。
洗馬地区は中心市街地に比べ、運行時間や本数など公共交通の利便性が劣る。昨年10月に市社会福祉協議会洗馬支部に移動支援検討委員会を発足させ、今年1月に、買い物限定で小曽部の自宅―目的地間の運行を始めた。小曽部は高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)が44・1%と高い地域だ。
道路運送法の「許可・登録を要しない運送」として、利用は実費(燃料代)の1人200円を仮設定した。ドライバーは有志4人で、毎週火曜日にギャザ、金曜日にザ・ビッグ山形店(山形村)を目的地に希望者を送迎している。10回ほど運行し、延べ33人が利用した。
検討委員長で前同地区区長会長の大熊陽一さん(67)=上小曽部=は「自分たちの将来を視野に入れ取り組まないと。実証試験をやりながら洗馬地区全体に広めていきたい」と話す。今後は定期的な通院にも対応し、専用の協議体を作って運行し公共交通と接続させる長期的な構想がある。
交通課題は行政だけで対応し切れない部分もあり、市地域共生推進課の飯田哲司課長は「地域の人が解決しようと一歩進めるのはありがたい」と話す。
市内では北小野地区でも今月、同地区センターで毎週水曜日にa開く「たのめ市」に併せ、市社協北小野支部連絡協議会が、車で送迎する移動支援の実証実験を始めた。利用需要を探っている。