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2025年

豊科郷土博物館友の会のアンケート 戦時中の体験談や関連資料 68件寄せられる 空襲から暮らしまで率直な思い多く

2025/06/25
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 戦後80年の節目を機に安曇野市豊科郷土博物館友の会戦時生活部が行った戦時中の体験談や関連資料を集めるアンケートで、80~90代の市民や戦争体験者の遺族から約70件の情報が寄せられた。本土空襲やシベリア抑留の過酷な体験、我慢を強いられた生活の様子など多岐にわたる証言が集まり、戦争に対してさまざまな思いがあることが分かる結果となった。
 アンケートは戦争実態の把握と記録保存のため市内全域の約2万世帯を対象に4月から行い、6月11日現在で68件の情報が寄せられた。会員は個別の聞き取りなどの情報分析を進めており、その成果は11月に同館で行う企画展で発表する。
 「横須賀での空襲で機銃掃射を浴び、何度も生死の瀬戸際に立たされた」などの生々しい体験談に加え、戦時生活のエピソードも数多く集まった。「戦争のために思うように勉強できず悔しかった」「傷痍軍人会の仕事をしながら不自由な手で農業を続ける義父の姿に多くを教わった」など、人それぞれの率直な思いが伝わる内容が目立った。
 優れた功績を挙げた軍人に贈られる「金鵄勲章」や軍隊手帳、日記などの資料も寄せられた。捕虜としてシベリアに抑留された穂高の黒岩光則さん(故人)は当時の状況を数多くの俳句で日記につづった。孫の慶太さん(40)は「安曇野や家族への思いがすごく書かれていた。同じように生き延びた人々は皆同じ思いだったのでは」と推し量った。
 アンケートの発起人で部員の百瀬新治さん(74)=堀金烏川=は聞き取りについて「それぞれに貴重な体験を経ていて一生懸命に話してくれた。どの情報も等しく大事に扱い、市民への発信に努めたい」と話している。