思い出語って健康づくり 生坂・高齢者の記憶保存も
2025/06/24
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生坂村と村内の女性ボランティアサークル「しあわせing」が、健康づくりの一環で、高齢者に地元の昔の様子や思い出を語り合ってもらう活動に取り組んでいる。高齢者の認知症予防に役立てつつ、記憶に残るかつての地域の姿を生の声で残し、今は途絶えた行事や事柄などを村のアーカイブとして保存する狙いだ。将来的には地図や冊子などにまとめたいという。
高齢者が公民館に集まって健康体操や茶話会を楽しむ事業「健康応援隊」の一環で、5月から11月まで各地区を巡回して取り組んでいる。古い写真や模造紙に描いた地域の白地図を用意し、住民が自由に語り合う思い出や建物、行事を村職員やしあわせingメンバーが付箋に書いて地図に貼る形で記録する。これまでに大日向と下生野、上生坂、日岐で開き、話が盛り上がって「もう一度開いてほしい」という声も上がるほどだ。
20日は日岐公民館で開き、高齢者9人が参加した。日岐区は昭和30年代に生坂村と池田町、明科町(現安曇野市)に解体分割された「陸郷村」の一部だ。参加者はかつての「九尺道路」や医療施設、日野橋周辺の商店街などの思い出話に花が咲いた。小池喜久三さん(89)は「懐かしい話も多く出てきて元気になれた」と笑顔を見せ、荻久保幸男さん(78)も「話していると『だいぶ景色も変わったな』と実感できた」と感慨深げだった。
しあわせingの藤原京子代表は「80~90代の人たちに今聞かないと記録に残らない事象を知るギリギリの時期に来ている。住民たちの記憶を今後(の記録や発信)につなげられれば」と願った。
問い合わせは村健康福祉課(電話0263・69・3500)へ。
