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2025年

松本城の天守、鉄骨で耐震補強へ 文化庁了承、基本設計に着手

2025/06/20
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 松本市は19日、松本城の国宝天守を鉄骨で耐震補強する案について、文化庁がおおむね了承したと市議会経済文教委員協議会に報告した。これを受けて本年度から来年度にかけて基本設計に取り組み、費用や工事期間を算出する。早ければ令和9年度に実施設計をして、10年度以降に工事開始となる運びだ。

松本城天守の耐震補強内容

 天守と月見櫓、辰巳附櫓、渡櫓、乾小天守からなる天守上部構造全体を鉄骨補強する案は、国宝5城で初めて。唯一の平城で、泥や砂が堆積した軟弱な地盤に建つ松本城の特徴を踏まえた。鉄骨はお城の木材との区別が容易で、昭和30(1955)年しゅん工の「昭和の大修理」から150年後の2105年ころを予定する解体修理時に、原状復帰が可能というメリットがある。
 天守1~5階に鉄骨フレーム、1階と4階にダンパー(制震装置)を設置し6階の土壁を補強する。天守の基礎部と内堀の石垣際をくい打ち補強する。耐震診断で、大地震が発生した場合に「倒壊」するとされた乾小天守の基礎構造の補強方法は今後も検討を続ける。耐震補強に伴いしっくいの補修や劣化した屋根瓦のふき替えもする。
 工事期間中は基本的に天守に入れなくなる。臥雲義尚市長は同日の定例記者会見で、工事は長期間にわたるとの認識を示した上で「工事期間中に通常とは違った価値を提供できないかについても、庁内の関係課で検討を進めていきたい」と述べた。