県食肉公社 食肉処理施設建設費、当初の1.5倍に 125億円見込み
2025/06/19
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JA全農長野の子会社・長野県食肉公社が松本市島内で運営し、朝日村を最有力候補として移転の検討が進められている食肉処理施設を巡って、移転・新設する施設の建設費が約125億円と見込まれていることが明らかになった。令和4年度の試算では約85億円だったが、40億円の大幅な増額となる。公社は県や市町村に公費負担を求める方針だが、難色を示す自治体もあり、今後の移転スケジュールに影響を与えそうだ。
県やJA、県内市町村などでつくる施設整備支援検討会の第5回会合が18日、松本市深志1のJA中信会館で開かれ、朝日村西洗馬の鎖川右岸沿い農地に移転した場合の概略設計や建設費の見込みが示された。新施設は1日当たり牛40頭、豚500頭の処理能力を有し、現行施設の約2倍となる延べ約5400平方メートルの規模で設計。建設費の増額は全国的な資材費や人件費の上昇によるものだとしている。
現行の食肉処理施設は松本市の市有地に立地している。松本クリーンセンターを運営する松塩地区広域施設組合は同地に新ごみ処理施設を建設する計画で、市は土地の早期返還を公社に求めているが、全農長野は返還期限の延長を要請していて、両者の間で具体的な返還期限を決定できていない。
食肉処理施設の移転候補地の周辺住民からは、農業や環境への影響を懸念する声も上がっている。公社の村山壮一社長は「県内の畜産を守り、消費者に食肉を安定的に供給することが重要。関係機関と協議し、スピーディーに対応したい」と話した。