剪定請負の人手足りず シルバー人材センター苦悩
各地域のシルバー人材センターが請け負う樹木の剪定が、人手不足に悩まされている。センターによって程度に違いはあるが、本年度の新規請負を見合わせた所もある。高齢化を背景に、剪定に当たる会員が減少傾向にある。夏の猛暑が続き、会員の健康維持の観点で確保できる作業時間が短くなっていることも影響している。
塩尻地域は、新規請負の停止を公式サイトで伝えた。本年度、450件程度の剪定請負を見込むが、昨年度の565件、5年度の654件から大幅に減る。剪定に当たる会員は26人で昨年度から2人減った。松本地域も似た状況で、大規模な事業所など毎年受注する大口も多く、人繰りに苦労する。安曇野は地域によって作業が冬に近くなる。木曽は受注を続けるが受けられる時期が限られてきている。
松本地域の平林泉事務局長は「60代での入会が減っている。70歳を過ぎて新たに剪定を学ぼうという人は少ないだろう」とみる。安曇野の赤澤哲也事務局長は「剪定や草刈りをやりたい人はウエルカムだ」と呼び掛ける。
屋外で行う作業のため、夏の猛暑を避けるため午前に限ったり、日程に制約が出たりすることがある。木曽の浦島公登事務局長は「会員は炎天下での作業を避けるなど工夫している。シルバーとしても注意を呼び掛けている」と説明する。
発注側にも高齢化の影響がある。複数のセンターが「庭造りをしていた家族が高齢で動けなくなったり、亡くなったりしての受注もある」とみる。
どのセンターも、一定の需要がありながら受注が難しくなっているという事情は同じだ。塩尻地域は安全確保を徹底するために行う講習の門戸を、入会を考える人にも開いており、会員確保につなげようとしている。受注は会員の仕事の確保という側面もあり、竹村伸一事務局長は「仕事を受けたいのはやまやまだが、期待に添えず申し訳ない。対応に努めていく」と話している。

剪定に当たる会員向けの講習会(塩尻地域シルバー人材センター提供)