お茶壺道中「下に、下に」 木曽漆器祭・奈良井宿場祭
2025/06/10
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江戸時代、京都の宇治茶を徳川将軍家に納める宇治採茶使の行事を再現した「お茶壺道中」が8日、塩尻市の奈良井宿で行われた。第56回木曽漆器祭・奈良井宿場祭の2日目の催しの一つで、お茶壺道中を通じて長年の縁がある山梨県都留市の人たちを交えた約90人が宿場町を練り歩いた。
茶道頭や警備の役人などに扮した一行は、宇治採茶使の宿所だった長泉寺を出発した。宿場町を南に向かって南端の鎮神社で折り返し、北端のJR奈良井駅まで歩いた。「下に、下に」という声と共にゆっくりと進んだ。
見物に来た人たちはカメラやスマートフォンを向け、江戸の風情を感じさせる風景を写していた。家族6人で訪れた同市宗賀の須山将樹さん(40)は「初めて見た。宿場町を歩いて行く雰囲気が良かった」と楽しんでいた。
都留市の勝山城には夏の間、茶を保管・熟成させる茶壺蔵があった。毎年、10月下旬にお茶壺道中の再現行事があるといい、実行委員長の岩間公勇さん(69)は「将軍家のお茶壺道中を再現しているのは都留とここだけ。こういう縁があるのがありがたい」と話した。
近年は外国人旅行者の見物が目立ち、ネットで情報を知る人が増えた。奈良井宿場祭推進部会長の永井裕さん(55)は「天気に恵まれ、大勢に来ていただいた。ありがたいことだ」と喜んでいた。
