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2025年

安曇野市穂高有明の「鐘の鳴る丘集会所」 アートの拠点に 芸術家が滞在し制作に活用 市が大規模改修し8日にオープン

2025/06/06
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 安曇野市が大規模改修を進めてきた市指定有形文化財・穂高鐘の鳴る丘集会所(穂高有明)の工事が完了した。従来は郷土の歴史・文化学習などに使われてきたが、今週末からは、芸術家が普段と違う土地に滞在しながら制作活動を行うプログラム「アーティスト・イン・レジデンス」(AIR)の拠点としての機能を加え、活用の幅を広げる。
 同施設は木造2階建て延べ444平方メートルで赤い屋根の時計台がシンボルだ。昨年度に耐震補強や内装のリニューアルを行い、アトリエ3室、宿泊する芸術家の寝室や談話室、シェアキッチンなどを新たに設けた。総事業費は約1億8300万円。担当職員が常駐する。
 市と連携してアート関連事業を行う東京芸術大学や京都芸術大学、多摩美術大学の卒業生などの利用を想定する。初年度は染織作家、鋳金作家など10人以上が一定期間利用し、市民や安曇野の自然と触れ合いながら創作に臨み、作品発表なども行う見通しだ。市は「新たな文化を創造、発信するアート拠点となることを目指したい」とする。8日にオープニングセレモニーと、記念のセミナーが現地で開かれる。
 同施設は明治期に長野市で遊郭として建てられ、大正期に穂高有明に移築。温泉旅館、青少年更生施設を経て昭和50年代、改築に伴い現在地に移築復元された。戦後間もない昭和20年代に人気を博したNHKラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の舞台になった。近年は、イベント時のみ活用されていた。

芸術家の活動拠点として活用される穂高鐘の鳴る丘集会所