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2025年

ご神木を伝統の技で伐採 伊勢神宮の式年遷宮 上松で御杣始祭

2025/06/04
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 伊勢神宮(三重県伊勢市)の社殿を20年に1度建て替える式年遷宮(令和15年)に向け、ご神体を納める器の材料となる木曽ヒノキを切り出す祭儀「御杣始祭(みそまはじめさい)」が3日、上松町小川の国有林で行われた。持統天皇の時代以来、約1300年続く式年遷宮の伝統にのっとった、古式ゆかしい祭りだ。参列者約350人が見守る中厳かに祭儀が執り行われ、2本のご神木が切り倒された。 

純白の作業着に身を包み、伝統的な技法「三ツ紐伐り」で伐採を行う杣夫たち(3日午後1時半すぎ)
純白の作業着に身を包み、伝統的な技法「三ツ紐伐り」で伐採を行う杣夫たち(3日午後1時半すぎ)

 
 ご神体の器「御樋代」をつくるための御料木として、伊勢神宮の内宮用、外宮用に、それぞれ胸の高さの直径約60センチ、樹高26メートル、推定樹齢300年のご神木を1本ずつ伐倒した。
 内宮用のご神木の切り出しは、地元から選抜された杣夫(山で木を切る人)7人が受け持った。木曽で古くから用いられてきた貴重材の伐倒技法「三ツ紐伐り」を使い、3人ずつ3方向から木におのを入れた。杣頭・橋本光男さん(72)=上松町小川=が「いよいよ寝るぞー」の掛け声とともに最後のおのを入れると、ご神木が「ぎぎぎ」「ぎぃ~」という音とともに地響きを立てて倒れ、参列者から大きな拍手が起こった。
 県林業大学校(木曽町)の2年生約20人が見学した。清野嗣さん(19)は「おのだけで正確に木を切り倒すのはすごい」と感心していた。上松小・中学校の児童生徒約140人は祭儀のみ見た。
 4~6日は上松町で奉祝行事・御神木祭が予定されている。御杣始祭後に「化粧掛け」が施されたご神木を引いて、町内を練り歩く「お木曳き」(4日)などがにぎやかに行われる。神木は6日に同町を出発し、岐阜県、愛知県を経由。途中、岐阜県中津川市で切り出された神木と合流し、9~10日に内宮、外宮に到着する。