塩尻・小坂田池弁財天 後世に 柿沢の降旗勇さん 冊子作成へ情報求める
2025/06/04
後で読む

塩尻市塩尻町の小坂田公園内の「小坂田池弁財天」は昭和初期は池の中に建立されていた―。小坂田池の南西側に住む大工・降旗勇さん(81)=柿沢=は当時の写真や資料を大事に保管している。観光拠点の先駆けとして、今では知る人が少ない弁財天や小坂田の歴史を後世に伝えるため、冊子にまとめたいと考えている。
弁財天が建立された昭和7(1932)年ころに撮影された写真は、池の中に弁財天堂があるのが分かる。池に浮かべられた舟に乗る人の姿も見られる。
小坂田池は江戸時代前期に造られた市内最古とされる農業用ため池だ。かつては厚い氷が張り、スケートが行われ、養蚕業の冷却剤用に氷が切り出された。
弁財天は近くの永福寺から遷座し、朱塗りの橋をかけ水上にお堂が建てられた。建立の中心となったのが、池のほとりで料理店を開業した降旗さんの祖父。遷座祭の案内通知には縁結び、子宝、財運を願う―と記され、参詣で人が集う「にぎわい」や「観光」を意識したことがうかがえる。昭和24年に堰堤のかさ上げ工事で水位が上昇したため、お堂を引き上げ、現在地に移築されたそうだ。
10年以上前、地域住民が冊子作りを目指し関係資料の収集を地区公民館で呼び掛けたことがある。当時は資料が十数点しか集まらず、計画の中心人物だった男性が他界して中断。今年に入り、降旗さんが属する隣組組織・町区1組でこの話題が出て、降旗さんの手元に関係者から収集資料が届き、思いが再燃した。
弁財天堂は約3年前に大型トラックによる事故で一部が破損、降旗さんが修理した。毎年秋に住民が祭りを開き地元で大事にする。降旗さんは「(経緯を)知らない人が多くなっている」と話す。資料や情報の提供は降旗さん(電話090・6485・8371)へ。