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2025年

松本城公園のメタセコイア 伐採視野に 市が幕末期の姿目指す

2025/06/04
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 「幕末期の姿の具現化」(松本市教育委員会史跡松本城整備基本計画第一期、令和5~14年)を目指して南・西外堀の復元や旧博物館の解体が進む松本城公園で、南西の一角にあるメタセコイアの大木群の扱いが課題となっている。幕末期は存在しなかった外来種の上に、国宝天守と同じ約30メートルの高さがあり眺望を阻害している。市は外堀復元工事の進ちょく状況や次期整備基本計画の策定に合わせ、伐採も含めて検討する方針だ。
 松本城公園内には約2800本の植栽があるが、天守脇の「駒つなぎの桜」や埋橋近くの藤棚を含め、昭和30(1955)年の「昭和の大修理」頃に多くが植えられた。メタセコイアは31年に、松本ロータリークラブが創立記念として植樹した。
 夏場は葉が茂り、園内を散策する人に緑陰を提供する一方、公園の南西側からは天守が全く見えなくなることから、近隣住民から不満の声が上がっている。地元の二の丸町会では、葉っぱでといが詰まったり強く張った根が下水管を詰まらせたりするとして、苦情が出た時期があった。元町会長の小岩井洋之さん(82)は「困っている人はいた」と振り返る。
 整備基本計画はメタセコイアについて、景観・環境形成や維持管理の観点から伐採を検討する―と記している。外堀復元工事は本年度、基本設計に入る。元松本城管理事務所研究専門員の後藤芳孝さん(77)は「往事の堀がよみがえったら、余計に景観にそぐわなくなるのでは」とみる。市松本城整備課の竹内靖長課長は「保存活用計画でも触れており、市はメタセコイアの扱いについて検討し続けてきた」とする。幕末期の姿の具現化に向け具体的な対策が求められる時期に来ている。

西側から見た松本城公園のメタセコイア群。葉が茂り、向こう側の天守が見えない