安曇野市の中房線・一の沢線路肩崩落で登山者大幅減 開山祭から1カ月経過 道路寸断のイメージ先行
4月25日の安曇野市開山祭から1カ月が過ぎた。北アルプスへのアクセス道路となる燕岳方面の県道槍ケ岳矢村線(通称・中房線)、常念岳方面の林道一の沢線がともに路肩崩落で一般車両が通行できないため、春山シーズンの登山者は例年より大幅に減少。影響は山小屋のみならず周辺のホテル・旅館などにも及んでおり、早期の復旧が望まれている。
「(中房線と林道一の沢線の)両方とも全く通れないという風評被害がある」。市観光協会の赤沼健至会長は21日、行政や交通事業者、経済団体などが集まる会議で説明した。
中房線は、定期バスが崩落箇所手前まで運行し、現場を挟んだ先から中房登山口までは地元関係者が車で無料送迎している。交通手段は確保されているが、道路寸断のイメージが先行。年間13万人が行き交う燕岳の山小屋宿泊者数は例年の約半分にとどまり、ホテル・旅館の予約もかなり減っているとし「市の経済に大きく影響している」と懸念を示した。
一の沢線は、昨夏の道路崩落から10カ月近くがたつ。穂高温泉郷のある旅館は「常念岳の登山客はかなり少ない」と嘆く。崩落現場手前までタクシーで行き、その先から登山口までは徒歩で1時間弱。問い合わせの電話でそう説明すると、山行を諦める人も多いという。
県は中房線の復旧見通しを今月末に示す予定。市が行う一の沢線の復旧工事は、請負業者の選定が入札不調で約1カ月遅れた上、土質調査も行うため、11月上旬のシーズン終了までに復旧が完了するか見通せない状況だ。
6月中旬以降は縦走登山者が増え、夏山シーズンが本格化する。旅行会社が企画する登山ツアーも例年だと増えるが、他の山域へ流れる可能性が心配されている。市観光協会は情報発信を強化し、県の許可が下りれば無料送迎の体制も拡充したいとしており、望月淳利事務局長は「皆で力を合わせてシーズンを乗り切ろうという一体感が出ている。なるべくお客に迷惑を掛けないようにしたい」と話している。
