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2025年

松本で74年「模型のアサヒ堂」が閉店へ 店主の臼井さん体調悪く

2025/05/27
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 昭和26(1951)年に創業した松本市丸の内の老舗模型店「模型のアサヒ堂」が、6月で74年の歴史に幕を閉じる。3代目店主の臼井孝重さん(82)の体調が芳しくなく、安曇野市内の自宅から通えなくなったためで、長年親しんだ常連客が別れを惜しんでいる。
 臼井さんが在店する最後の閉店セールとなった25日は、常連客が次々と訪れた。餞別の品を手渡して臼井さんと握手し、涙ぐむ夫婦の姿もあった。「高校時代は店に入り浸っていた」という上手一男さん(63)=松本市波田=と西村秀朗さん(63)=同市笹賀=は、臼井さんが保管していた写真の中に当時の2人が写っているものを見つけ、思い出話に花を咲かせていた。
 臼井さんは店を引き継いで以来、毎週水曜日と正月の1日2日以外は決して休むことなく営業を続けてきた。1980年代のラジコン(無線操縦)ブームの頃は来店客の大半が子供で、大会には中高生がこぞって自慢の愛車を携えて参加した。「今はお客さんのほとんどが大人。子供が作って楽しむことをしなくなった」と残念がり、「思い出はいっぱいあるけれど、涙が出て話せない」と目頭を押さえた。
 6月1日、8日の閉店セール(午前10時~午後5時)で営業を終了する。長男の寛重さん(48)は「99%が常連さん。ショーケースに長年展示されて劣化したプラモデルを『子供の頃から見ていたからほしい』と言ってくれる人もいる」と感謝する。
 売れ残った商品は笹賀の自動車販売店・フェニックスオートに新設されるコンテナハウスに引き取られ、販売される。興文堂平田店(松本市平田東2)2階のラジコンカーショップOldtimersでも「アサヒ堂コーナー」を設けて販売する予定となっている。

常連客と思い出を語り合う臼井さん(左)