松本市の昨年度ふるさと納税が過去最多 返礼品目増が奏功か
松本市が受け入れている「ふるさと納税」が昨年度、寄付額、件数とも過去最多となった。寄付額は5億2263万円(速報値)で、本年度の目標値に掲げていた「5億円超」を1年前倒しで達成した。件数は1万2397件となり、初めて1万件を突破した。昨年度は返礼品の発注・発送を担う中間業者が契約期間満了に伴って新たな委託先に変更され、返礼品が428品から1149品と倍以上になったことが影響したとみられる。
令和5年度は総務省の地場産品基準に基づく事務手続きで、返礼品で人気の高い電気シェーバーのホームページへの掲載が遅れ、寄付額、件数ともに落ち込む異例の年度となった。4年度と昨年度を比較すると、寄付額は27%増、件数は65%増となる。
返礼品を扱う事業者は前年度比43件増の139件となり、農産物が増えた。件数別で見ると、ブドウの「ナガノパープル」が1071件で最も多く、ヘアドライヤー843件、シェーバー689件と続く。
金額別でみると、マクセルイズミ(笹賀)が製造する電気シェーバーが6201万円で最も高く、次いでテスコム(和田)製造のドライヤーの3287万円、3番目にマクセルイズミの違う種類の電気シェーバーの3159万円がランクインした。電気シェーバーだけで1億円近くに上った。
返礼品の種類を増やし、少額でも寄付をしようとする人を取り込んだため、1件当たりの寄付単価は5万4748円で、4年度と比べると1万2590円下がった。
市は令和3年度の下半期にふるさと納税を積極活用する方針に転換した。現在は「ふるさとチョイス」など四つの寄付サイトと契約しているが、4月からは新たに「ふるなび」を加える。市の目標では本年度に寄付額5億円を突破した後、毎年5000万円ずつの上昇を掲げる。石田英幸・移住交流推進室長は「ふるさと納税で松本の魅力を発信し、事業者の販路拡大や移住促進につなげていきたい」と話している。
