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終戦を願い響け歓喜の歌 ウクライナフィルと公募の市民合唱団が24日に塩尻で公演

本番まで1週間を切り、練習に熱が入る合唱団員たち

 塩尻市のレザンホールで、ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団と、公募の市民合唱団がベートーベンの交響曲第9番(歓喜の歌)で共演する公演は、24日に本番が迫った。当初は一昨年に開催が検討されたが新型コロナウイルス禍に加え、昨年にはロシアによるウクライナ侵攻が勃発。同ホールで令和元年に開かれて以来4年ぶりに待望の舞台が実現する。合唱団員は戦争終結を願う歌声を響かせ、楽団を支援する募金活動も計画している。

 平成29(2017)年、令和元年に次ぐ3度目の共演で、約130人の合唱団員が8月以降、月数回の練習を重ねてきた。当日はオーケストラ団員やソリストら、ウクライナから来日する約80人の音楽家と共に舞台に立つ。
 関係者によると同楽団は侵攻開始当初、演奏活動をしていたポーランドで足止めを食らい、一度は散り散りになりかけた。しかし昨秋から本国での定期演奏会を再開。空襲警報で公演を中断する日があっても音楽を捨てず、レザンホールでの共演を平成29年に指揮したミコラ・ジャジューラ氏は「音楽こそが唯一の希望であり武器」と話しているという。
 これらの状況を鑑み、合唱団員の有志はウクライナフィルの演奏活動を支援する募金を企画。任意で合唱団員から募る寄付に公演当日に来場者から寄せられる善意を併せ、終演後に楽団に手渡す。発起人の一人でバスパートの元高校教諭・百瀬哲夫さん(82)=塩尻市広丘郷原=は「本来であれば平和の訪れを受けて歓喜の歌を歌いたいがまだかなわない。一日も早い戦争終結を願ってエールを送りたい」と話している。
 24日午後2時開演。一般6000円(高校生以下3000円)。問い合わせはレザンホール(電話0263・53・5503)へ。