2023.6.25 みすず野
休日の昼にそうめんが出ると、夏が来たなと思う。ミョウガや青ジソを薬味に、ささっと食べるのがいい。サンダルを突っかけて、庭に毎年勝手に生えてくる青ジソの葉を、草をよけながら数枚摘めば準備完了。ミョウガが取れるのはまだ先だ◆そうめんとおにぎりをセットにした昼食を出す店があり、毎日のように通った。数切れ添えてあったトマトの赤い色を思い出す。そうめんだけでは、とても夜までもたない。体力に自信があったころ、この組み合わせはうれしかった◆そうめんの先祖は、7~9世紀に遣唐使らがもたらした索餅という、麦の粉で作ったとされるひも状の唐菓子(『和菓子を愛した人たち』山川出版社)で、「七月七日に宮中の疫病除けとして御前に奉ったものが市中におよび、のちに京都で七夕に『索麺』を食する風習となった」(『旬の菜時記』朝日新書)という◆前掲書に「ざぶざぶと索麺さます小桶かな」(村上鬼城)が載る。たっぷりの冷たい水で、そうめんを冷ます様子が見えるようだ。光沢のいいめんはきっと透明な器に入っている。陽気をみながら、きょうの昼に今季初登場、というのはどうだろう。