連載・特集

2022.7.6みすず野

 以前にも書いたかもしれない。俵万智さんの〈サラダ記念日〉は別に〈七月六日〉でなくてもよかった。翌日の七夕のような既存の特別な日ではなく、何でもない日にしたかっただけだ。確か著書でそう読んだ◆「しちがつ」とサラダのS音で頭韻を踏んでいる。流れるリズムが生まれた。6月や8月は突っかかるし、11月や25日―だと字余りになってしまう。3月も2音でSだがサラダと季節が合わない。そう考えると、やはり7月6日が一番ぴったりに思える。そこまで考えて歌を作っているのかと感心した◆付会が過ぎると叱られそうだが、選挙で投票先を選ぶ過程と少し似通う。主張を聞き比べ、感覚が最も近い候補や党に一票を投じる。A党の指摘をもっともだと思う一方で、他分野ではB党に賛成―と迷うことも。そういうときは自分の中で譲れないものを優先させる。サラダか押韻か、あるいは字数か◆歌が無くても生きていけるし、1人の歌くらいで世の中は変わらない。そもそも忙しくて歌なんか作っている暇はない―との声もあろう。ともあれ俵さんが〈七月六日〉を選んだことで、きょうは〈サラダ記念日〉になった。

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